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THE INTERVIEW

Character specialty store

株式会社キディランド 代表取締役社長
津村 孝彦(つむら たかひこ)

2023 年6 月にキデイランド代表取締役社長に就任した津村孝彦氏。インバウンド
消費がキャラクター商品市場を牽引するなかで、同社の業績も好調に推移している。
最近では、男性ファンが7 割を占めるというホロライブタレントの公式ショップや、
新たな旗艦店として新宿店もオープンさせている。今回のTHE INTERVIEW では、
積極的に新たな展開を進める同社のキャラクター専門店としての考え方や、現在の
キャラクタートレンド、今後の方向性などについて、津村氏に聞いた。

 


ゼロベースでキャラクターを選択し
専門店化事業を進める



――(編集部)キャラクター商品を扱う専門店である貴社ですが、キャラクターセレクトの基準や展開の考え方などを教えてください。
津村 キャラクターをセレクトする基準は、ここ数年で大幅に変わってきています。今まではエバーグリーンなキャラクターを軸にスヌーピーやリラックマ、ミッフィーなどを中心に展開していました。また“LIKEキャラクター”は展開するが、“LOVEキャラクター”は展開しないという傾向もありましたし、コミックやアニメのキャラクターは基本的には展開しなかったのはご存知のとおりです。
 ここ数年で大きく変わったのは、いろいろなメディアやデバイスからいろいろなキャラクター、コンテンツが生まれるようになりました。また海外からのお客様が増え、彼らはさまざまなキャラクターを愛されて、それを求めてキデイランドに来られるようになっています。そこで当社もゼロベースでキャラクターを選択するようになったのが大きな変化です。

――昨年11 月には東京キャラクターストリートにホロライブの公式ショップがオープンし、今年6 月には大阪にもオープンしました。貴社としては異例の展開のように見えます。
津村 そうですね。現在、当社ではこれまでのファン層だけではなく、男性ターゲットも含めて、さまざまな方々にアプローチをしていこうとしています。ホロライブの公式ショップはその典型であり、男性が70%の構成比という、当社のターゲットとしては、真逆のビジネスです。ただお客様が感じるかわいいという感覚には大きな違いはありません。
 ただ、キャラクターを深掘りして成長させていくという専門店事業の考え方は変わってなく、できるだけトライ&エラーをしながらさまざまなキャラクターを専門店化していきたいと考えています。

――専門店の考え方を教えていただけますか?
津村 以前のキデイランドでは、トレンド重視での取り扱い傾向が強く、キャラクターの人気がなくなれば売り場もなくなるというような展開をしていました。ただ時代的にもしっかりとキャラクターを深掘りしながら、お客様とともに成長していくべきではないか、それが専門店ではないかということで、そのビジネスに着手して、今年の3 月で17 年目に突入しています。

――17 年前ということは、スヌーピータウン事業が最初ですね
津村 実は2008年に「リラックマストア」の1 号店をオープンする為、サンエックス様と準備をしていたのですが、急にスヌーピータウン事業を継承するということになり、「スヌーピータウンショップ」が1 号店になりました。

――2017 年頃だと思うのですが、コミックやアニメキャラクターの専門店を出店していたと思いますが。
津村 はい、そうですね。コミックやアニメグッズにも挑戦してみたのですが、商品サイクルが早くて読み切れないということがあり、1年ぐらいで閉店しました。そういった事もあり、当社としては、IPを絞った上で、改めてコミックやアニメのIP 専門店にチャレンジしたいと考えています。

――新しいキャラクターにチャレンジするための情報収集はどのようにされているのですか?
津村 SNSのフォロワー数などは手軽に入ってくる情報だとは思いますが、最近は意識的にコミック出版社さんなどにアプローチするようにしています。当社は正直なところこれまでコミックやアニメのライセンサーさんとご縁があまり無かったので、最近はご紹介いただいたり、さまざまなイベントに顔を出したりするなど、積極的にネットワークづくりを始めています。


都心部はやはりインバウンドも含めて
非常に良好に推移



――そういう新たな方針が奏功してなのか、ここ最近、キデイランドさんは非常に業績が好調だと思います。
津村 コロナで3年間は厳しかったのですが、売上はコロナ禍前にも増して右肩上がりで伸長しています。「ちいかわ」が一番売上を伸ばしていますが、その他の専門店事業もすべて伸びているような状況です。

――やはりインバウンドの影響が大きいのでしょうか?
津村 円安もあって海外のお客様が増加している影響は最も大きいと思いますが、カワイイ文化、推し文化などが熟成されて世界中に浸透していっている点が大きいように感じています。

――外国人の売上が8 割に達する店舗もあるとお聞きしました。
津村
いま当社の売上構成比で外国人の売上が80%に達しているのは心斎橋パルコ店です。2 番目が原宿店で、やはり70%を超えています。ただ実質の客数では、たぶん外国人6 割、日本人4 割くらいです。やはり免税の影響で、客単価が日本人に比べて高くなるため、売上構成比も高くなっています。

――外国人はどのようなものを購入されているのですか?
津村 以前と違ってわれわれもあまりお土産ものは品揃えしていないので、日本人と同じように、いろいろなキャラクターのグッズが買われているという感じです。

――今年ももう半年が過ぎたわけですが、昨年と比較して今年の動きはいかがですか?
津村 いまどちらかというと都市部、大都市に大型店を出店するというような方針で進めているので、基本的に都心部はやはりインバウンドも含めて非常に良好ですね。
 あとは地方都市も、可能な限り中心部へシフトする事で売上上昇、また、コロナ禍で売上を牽引してくれていた郊外店も一巡し下げ止まりしたという感じです。この第1四半期を見ても、郊外の既存店でだいたい前年比98%くらいの数字にはなってきているので、全体的に落ち着いてきていて、そして出店を加速している地方都市、観光地、大都市といったところが売上を引っ張っているかたちになっています。

――引き続き好調ということですね。貴社のなかでも大きな売上構成比になっていると思いますが、「ちいかわ」はいかがですか?
津村 引き続き順調です。「ちいかわ」は商品力のパワーがすごくあるので、商品の企画の有無で、若干月によってでこぼこはありますが、年間を通してみると、しっかりと成長ベースに入っていると思います。


韓国、中国で先に流行して、
日本に改めて上陸してくる



――新たなキャラクタートレンドはありますか?
津村 そうですね、1つはやはりインバウンド需要の回復と拡大といったところから、日本のキャラクターの強さが顕著に現れています。また日本発のキャラクターで改めて再評価を受けて伸びているものも多いですね。例えば、日本のキャラクターとして王道で伸びているのは、やはり「ちいかわ」と「サンリオキャラクター」。再評価という点では「任天堂キャラクター」、「ONEPIECE」、「セーラームーン」なども着実に売上が伸びています。

――まさに海外で人気のキャラクターですね。
津村 2つ目は、平成レトロブームの影響で、かつてのブームキャラが若年層から支持され再熱してきています。例えば、「たれぱんだ」や「たまごっち」、「ラブ and ベリー」など、しっかり数字が出てきているような状況です。
 そして3つ目が、韓国、中国で先に流行して、日本に改めて上陸してくるIPというような流れです。「mikko illustrations」や「パワーパフガールズ」、「LABUBU(ラブブ)」、「モンチッチ」などもそのような流れだと思います。

――「モンチッチ」などは、いろいろなお店で見かけるようになりました。
津村 BLACKPINKのリサさんが「LABUBU」を持っていて流行ったということがありましたが、最近では、リサさんが「モンチッチ」を持っていたということで、さらにモンチッチ人気が加速するのではないかなど、とにかく、影響力の強い方が持つことで流行ることも多くなっている状況です。

――いまはSNSが当り前なのでグローバルでトレンド情報を把握しなければならない状況ですね。最近、「リラックマ」も好調と聞きました。
津村
そうなんです、昨年からぬいぐるみのMサイズが大量に売れ出したんです。でも、原因を探しても分からない。ただひたすら買われるし、もう全然ぬいぐるみがないという状況になっています。

――やはりSNSの影響ですか?
津村 今年に入ったぐらいから、SNSにリラックマの露出が増えており、雑貨なども含めて若い世代が「リラックマ、可愛い」という感じになっています。すごい影響力です。


5店舗目の旗艦店
「キデイランド新宿店」



――今年4 月にオカダヤビルに「キデイランド新宿店」をオープンしました。なぜいま新宿ということも含めて教えてください。
津村
われわれの考えとしては、やはり外国の方が多い大都市圏にとにかく出店していきたいという思いがありました。ただ、物件選びはお見合いみたいなものですので、たまたまオカダヤ様が新しいビルを計画されるなかで、日本の文化を発信できるような企業に入っていただきたいという思いがあり、われわれも新宿に出店したいという思いがあり、両社が意気投合したという結果です。従って渋谷にも出店したいですし、今後も大都市圏にしっかりと出店していきたいと考えています。

――そうすると今後はもっと旗艦店が増えていくわけですね。
津村
そうですね。当社の旗艦店はこれまで原宿店、大阪梅田店、東京駅一番街店、心斎橋パルコ店でしたので、新宿店は5 店舗目の旗艦店になります。当社の旗艦店の基準は、基本的にはスペースではなくて、年間20億円以上の売上という考え方です。しっかりと専門店ブランドが入ったうえで、なおかつキデイランドという色を出し、いろいろなテストマーケティングができる売り場を兼ね備えた最強のかたちが新宿店ではないかと思います。

――他の旗艦店とは違うような新宿店としてのこだわりみたいなものはありますか?
津村 自分たちの理想のお店というのは変ですが、どうしても今までの考え方は、たくさん商品を並べて採算が合うような詰め込み型でやってきました。しかし新宿に関してはあまり商品を詰め込まずに空間演出をより良くして、お客様が写真撮影や、ゆとりを持って楽しんでいただけるような体験型のお店にしました。
 時々新宿店に行くのですが、お客様が「すごく買いやすくて楽しいよね」と言っている声を耳にします。今後もそういうお店づくりをしていきたいと思っています。

――今のファン層は、ただモノを買うだけではなくて、やはりそこに行って何か体験も含めて購入したいという思いはありますからね。
津村
また、新宿店のこだわりは1Fと2Fに設置をしている大型のサイネージです。各ライセンサーからのご協力をいただきながら季節ごとに最新のキャラクターアートを楽しんで頂きたいと考えています。当初はこのサイネージを観ながら多くのお客様に来店頂こうと考えておりましたが、オカダヤビルの洗練された外観や館内1 階は安全面を考えてキャラクターの打ち出しを押さえた結果、案外、キデイランドがあると気付かれず、あれだけ前の通りは外国のお客様で溢れているのに素通りされるというのが一番の誤算でしたね(笑)。
 オープン当初は外国人比率が30%ぐらいだったのですが、いまは6月から免税を始めて、少しずついろいろなアプローチをした結果、55%くらいまで上がってきています。着実にもっと強化していけば売上もついてくるかなという状況です。


来年80周年を迎えるキデイランド
原宿店もリニューアル



――ここ直近で何かトピックスはありますか?
津村
直近ではないのですが、来年80周年なので今までにないようなコラボを計画しているので、年間通して楽しんでいただけるのではないかと思います。

――80 周年はすごいですね。新たな出店はいかがですか?
津村
お客様が溢れかえっている原宿店を買いやすくする構想があります。今年一部リニューアルはするのですが、キャパ的に厳しいので、2号店ではないですが、近場に店舗を改めて作っていこうというような構想を練っているところです。

――「ハリー・ポッター ショップ 原宿」も8月にオープンするので、表参道もキャラクター一色になっていきますね。今後期待しているというキャラクターはありますか?
津村 先ほど申し上げたインバウンド需要、平成レトロ、中国、韓国での先行というキーワードで考えていったときに、まずインバウンド人気が高く、国内でも新たなファン層を獲得しているという視点では「グルーミー」に期待しています。キデイランドでもフェアを実施したのですが、北米、欧州でも人気で、ファンの人たちも往年のファンではなく若い人たちが中心でした。
 平成レトロ系では、「ゴマちゃん」にアプローチしていきます。また「忍たま乱太郎」も映画公開から若い人たちの動き方がすごいので期待しています。中国、韓国での先行では、やはり「mikko illustrations」ですね。

――「ゴマちゃん」は懐かしいですね。ものすごくぬいぐるみが売れたのを覚えています。
津村
そうですね、タカラ(現・タカラトミー)さんのぬいぐるみですね。おそらく「ゴマちゃん」の展開は来年になるのではないかと思います。


あらゆる世代へアプローチすることを
最優先に展開していく



――最後にインバウンドが盛り上がっているなかで、最近ではライセンサーだけでなく、ライセンシーも海外進出を加速しています。キデイランドさんとして海外展開を行う考えはないのでしょうか。
津村
タカラトミーグループとして、やはり地域軸の拡大と年齢軸の拡大、これは大命題になっています。そのなかで当社に関しては、もちろん中長期のなかでは海外展開も考えられますが、現在は基本的には世界のお客様に日本のキデイランドに来ていただくということを考えています。先ほど申し上げたように、あらゆる世代へアプローチすることを、まずは最優先でやっていこうと思っています。

――タカラトミーさんは海外展開を積極的に進めている感じですね。ただアジアの流通・小売の状況などを見ると、キデイランドさんのようなお店は本当に少ない。
津村
海外進出されているお店を見ると、日本から持っていく商品もありつつ、やはりローカライズで商品をきちんと作っていかないと利益がなかなか出ない。当社としても中長期的な考え方としてはSPA型に移行していく、ということも内部の目標として進めていきたいとは思っています。

――もっと自社で商品を作ることが増えていくわけですね。
津村
いま専門店におけるオリジナル商品の構成比は、それぞれのブランドによって違いますが、だいたい20%くらいの構成比で、もう少しその部分を人材も含めて強化していかないといけないと思っています。

――キャラクターが好きな人は多いので、一般的な小売業よりは良いのかもしれませんが、人材不足は深刻ですよね。
津村
そうなんです。本当に新卒採用のやり方も含めてですが、全部変えていかないといけないと思っています。キャラクター商品の企画はしたいが販売は好きではないという人も多いのですが、どうしても小売業からスタートしている会社なので、100%店舗からというやり方なんです。
 例えば、本部バイヤーからスタートする道筋を作るとか、いろいろな道筋を作りながら、人材を採用していかないといけないということを考えていて、来年から実施しようと思っていますし、いまは業績も好調ですので、あらゆる事に前向きにチャレンジしていきたいと思います

――今後の展開を楽しみにしています。本日はお忙しいなか、ありがとうございました。
(収録日・2025 年7月24 日 キデイランド会議室にて)

津村 孝彦(つむら たかひこ)
キデイランドにて店長・エリアマネージャーを経て、2006 年に旗艦店店長に。2008
年には「リラックマストア」、2009 年には「miffy style」といったキャラクターの専門
店事業をライセンサーの信頼・許諾をいただきながら立ち上げる。2012 年からは本部
にてキャラクター事業部を立ち上げ、専門店事業の進化に携わる。2023 年6月より同
社代表取締役社長に就任。


 
2026/02/12  
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