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ゲーム事業、教育事業など
マネタイズ多層化

 
――3本目の矢である「マネタイズ多層化」ですが、外部クリエイターとの連携も進めているのですね。
 そうですね。「Charaforio(キャラフォリオ)」というイラスト投稿サイトの運営をしていて、当社がサポートしています。個人のクリエイターはXなどで自身の作品を発表していますが、われわれはそのキャラクターをどう活用していくかという部分でクリエイターの方々のサポートができる。逆に言うと、われわれにしかできないサービスですし、「Charaforio」も1つのコンテンツだと思っています。
先ほど申し上げたように、われわれだけでは作り上げられないものなので、ユーザーの方にも参加いただき、Web3事業としてライセンスビジネスを展開できるプラットフォームを提供していきたいと思っています。
 
――ゲーム事業も展開されるようですね。
 はい、そうです。ゲームはリスクが高いビジネスと思われていますが、ゲームはエンタメのなかでも没入感が高いという特徴があるので、われわれとして新たな層の開発につながると考えていますし、そもそもすでに強いIPを持っている会社がゲームビジネスを行うので、それに対するメリットもあります。要するに知っているキャラクターがゲームに登場するわけですからね。それだけではなく、われわれはゲーム発IPも今後開発していこうとしています。
 
――確かに最初から強いIPを持っている、そしてIPビジネスに長けているという意味では、既存のゲーム会社とは異なるポジションですね。
 ゲームは、リスクが高いビジネスと言われることもありますが、没入度が高いことから新たな層の開拓につながるとみています。過去60年間に渡りIPビジネスを展開してきたわれわれならではのスタートラインで、ゲーム発のIPの可能性に期待しています。2026年冬には、スマートフォンの音楽ゲームをリリースする予定です。
 
――一方で、最も注力していきたいのは教育事業なのではないかと思っているのですが、いかがですか?
 まずなぜサンリオが教育に取り組むのかですが、サンリオはコミュニケーションの会社であり、キャラクターをはじめ、昔からグリーティングカード事業など、さまざまなビジネスをしてきたなかで、笑顔の数をどんどん増やしていくことがミッションです。そう考えた時に教育はどうかというと、、私は親や先生に勉強しなさいと強制されたりして、勉強にあまりいいイメージはなく、同じように教育分野ではコミュニケーションの取り方に困っている人がたくさんいると思うのです。それは親と子どももそうだし、子ども同士もそうだし、先生と子どももそうだと思います。いまは「Sanrio English Master」という幼児英語教材を展開していますが、教育という概念のなかで、われわれはコミュニケーションの担い手となって、そこを笑顔に変換することができるのではないかと思っています。
 
――キャラクターを活用して教育事業を展開している会社はありますが、コミュニケーションや笑顔に力点を置いているのですね。
 エンターテインメントは人々の時間だと思っているので、コミュニケーションをとる時間も、われわれが笑顔にする。勉強があまり得意ではないからもっと勉強をするのではなくて、楽しく勉強ができる、楽しく親子でコミュニケーションが取れるというように、勉強や教育を通じてもっと笑顔になる時間を増やしていきたいし、それがサンリオの役目ではないかと思ったので、教育というビジネスに参入しました。
 
――教育事業も企業理念の延長線上にあることが分かりました。そういう意味では、昨年は企業CMも拝見しましたが、企業ブランディングも積極的に行っていますね。
 昨年、新たにコーポレートブランディング部を創設しました。われわれはいままでスポンサードをあまりしてこなかったのですが、少しずつ始めていて、いろいろな効果があると思いますし、応援するというのは、われわれの会社としてやるべきことだと思っています。
 
――女子プロゴルファーをはじめ、フィギュアスケートや卓球のアスリートなどのスポンサードをしていますね。
 日本はサンリオという名前を知ってくださっている方がたくさんいますが、海外ではサンリオと言っても伝わらないことも結構多いのです。
 そういう意味でも、コーポレートブランディングは今後も大事になっていきます。営業する時もそうですし、サンリオと組む理由をお客様に知っていただくことにつながると思っています。
 
© 2025 SANRIO CO., LTD.  著作 株式会社サンリオ
© 2025 SANRIO CO., LTD. 著作 株式会社サンリオ

CBLA理事長に就任
市場全体を伸ばしていく

 
――最後に貴社の話ではないですが、今年度からキャラクターブランド・ライセンス協会(CBLA)の理事長に就任されました。多忙だと思うのですが、引き受けられた思いなどうかがえますか?
 
 そうですね。われわれは「みんななかよく」というゴールを目指して突き進んでいるわけですが、やはり1人や1社ではできないことはたくさんあります。これからエンターテインメント業界を盛り上げていくためには、いろいろな方々と仲間にならないといけないですし、そういった意味で、先ほどの掛け算ではないですが、ライセンスビジネスというのは加速度がつくとものすごくいいものとなります。CBLAの会員になられている会社の皆様方と、交流することによって今あるものがものすごく広がる可能性を持っていると思います。そういった意味でも、今回理事長へという、とてもありがたいお話があって、ここをきっかけに何か新しいことに挑戦できればと思っています。
 
――日本のライセンスビジネス産業が抱えている課題について、どのように見ていますか?
 特段ライセンスビジネスに限るものではないですが、日本企業のなかにある課題感は、個々にあるとは思いますが、通じていることもあると思うのです。例えば、会社間同士の情報共有の少なさや、同じことにいろいろな企業がお金を使ってしまっているなど、業界を盛り上げていきたいとは思っているが、結構無駄になってしまっていることもあるのではないかと思います。それはエンターテインメントに限らず、いろいろなところにあると思っているので、例えばわれわれがやってきたことや、ライセンス業界にとって良いと思うことは、もっと情報公開するべきだと思っています。
 
――全く同感ですし、それはCBLA設立の理由の1つです。
 このCBLAに私が理事長として入って、いわゆる団体として盛り上げていくのは至極当然の話で、あとはやはり日本企業としてしっかり市場全体を伸ばしていくということも大切なことだと思っています。そういう意味でわれわれが情報を提供できる部分もありますし、逆にわれわれが情報をいただいて成長できる部分もある。今回、理事長のお話をいただき務まるかどうかは分かりませんが、業界の発展に寄与していきたいと思っています。
 
――ぜひ日本のライセンスビジネスの発展のためにお力添えください。本日はありがとうございました。
(収録日・2025年4月1日 サンリオ会議室にて)
 
2025/06/04  

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